鍼灸施術を受けたことがない方にとっては、｢痛そう｣、｢熱そう｣、｢怖い｣などのネガティブなイメージや、｢効くの？｣、｢危なくないの？｣、｢何をされるかわからない｣といった疑問や不安を持たれている方が多いのではないでしょうか。

その効果や安全性については、1,500年もの長い間、途絶えることなく続けられてきたことが、証明しているのではないでしょうか。

最近でも一時的なブームで消えていく健康法や健康食品などが多くありますが、鍼灸療法も効果が無く危険で怪しいものならば、とうの昔に無くなっていたと思います。

鍼灸療法は、約2,500年前に古代中国で発祥し、約1,500年前に日本に伝えられました。

その後、今日まで中国とは別のスタイルで発展してきた伝統医療です。

2010年には「伝統中国医学としての鍼灸」として、ユネスコに無形文化遺産としても登録されています。

近年、鍼治療が欧米諸国で注目されるようになっています。

西洋医学による治療の限界や薬物療法などの副作用への懸念、心身のバランスの重要性の認識、高額な医療費の問題などから、西洋医学以外の治療法（代替医療と呼ばれています）への需要が増大しています。

特にアメリカでは、1998年に国立衛生研究所（NIH）内に国立補完代替医療センター（NCCAM）が設置され、国家プロジェクトとして代替医療の調査が始まりました。

代替医療を調査分析し、科学的にその根拠が立証された治療法は積極的に活用していこうというものです。

2014年には、アメリカ国立補完統合衛生センター（NCCIH）に改称され、現在も莫大な研究予算を使って、様々な治療法の有効性が検証されています。

鍼治療もハーバード大学をはじめ全米の著明な大学で臨床試験が行われています。

その成果として、テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンターやメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターなどの世界トップの病院で、癌患者に鍼治療（放射線療法による口腔乾燥症，術後の疼痛，抗癌剤による吐気・嘔吐，慢性の疲労感，ストレス緩和など）が行われています。

さらに、アメリカでは軍隊において東洋医学（鍼治療）が活用されています。

例えばアフガンイラク戦争に従軍した兵士に発症したPTSD（心的外傷後ストレス障害）の治療に鍼治療が行われ、鍼治療はPTSD患者の痛みを軽減させ、有効に作用していると報告されています。

また、空軍では身体の様々な痛みを軽減させるために耳鍼療法が行われています。

イギリスでも鍼治療を受ける人が増え、うつ病の治療に鍼治療が行われています。

この模様は、NHKで放送された、｢東洋医学　ホントのチカラ　科学で迫る鍼灸･漢方薬･ヨガ｣のなかで紹介されました。

このように現在では、東アジアの伝統医学である鍼灸療法は世界中で活用されています。