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鍼灸院みらい京都桂
〒615-8073 京都府京都市西京区桂野里町41-35 松風桂ビル4F
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腸内細菌と免疫機能、アレルギー(花粉症)について、ご紹介します。
腸活サプリメントや腸内細菌検査について、ご興味のあるお客様はお気軽にご相談ください。
腸管の機能として小腸は栄養分の消化吸収を行い、大腸は食物残渣から水分を吸収し便を作っていますが、もうひとつ重要な働きとして免疫機能があります。
腸管には私達の体に必要な栄養分(食べ物)や口から入ってくる病原菌、ウイルスなどに常にさらされています。
これらの病原菌、ウイルスを排除して身を守るために、腸管には体で最大の免疫器官(約70%)が備わっています。
腸管の免疫系は、パイエル板や小腸上皮細胞にある腸管固有リンパ球、粘膜固有層にある粘膜固有リンパ球などで構成されています。
腸管に侵入した病原菌などの抗原は、パイエル板にあるM細胞によって体内に取り込まれ、樹状細胞やマクロファージ、T細胞、B細胞などの主要な免疫細胞に抗原情報を伝達します。
抗原が病原菌と判断されれば抗体(主に免疫グロブリンA(IgA))が産生され、免疫反応により病原菌を排除します。
また、抗体を作る細胞は腸管粘膜だけでなく口や鼻などにも移行してIgAを作り、全身の免疫機能として働いています。
一方、食物などの体の維持に必要な成分や腸内細菌には免疫反応が起こらないように有害な病原菌と識別が行われています。
この機能は経口免疫寛容と呼ばれ、なんらかの原因で経口免疫寛容が機能不全を起こすと食物アレルギーを引き起こします。
これまでに腸内細菌と免疫系の多くの研究が世界中で行われ、その成果が著明な科学雑誌に報告されています。
その結果、バランスがとれた腸内細菌叢が腸管の免疫系を活性化することで健康が維持されることや逆に腸内環境のアンバランスな状態が、全身の免疫系を過剰に活性化し、アレルギーや自己免疫疾患などを悪化させている可能性がわかっています。
たとえば無菌状態にしたマウスでは、腸管にある免疫組織のパイエル板が未発達で、リンパ球や抗体であるIgA産生細胞が少ないことが報告されています。
また、ビフィズス菌であるビフィドバクテリウムが豊富なマウスにはアレルギー反応を引き起こすIgEが少ないことやアレルギーをもつ子供の腸内細菌叢には、ビフィドバクテリウムや乳酸菌であるラクトバシラスが少なくクロストリジウムが多いことなども報告されています。
東京大学の本田賢也博士らは、消化管に常在するクロストリジウム属細菌が、免疫抑制に必須の細胞である制御性T細胞(Tレグ細胞)の産生を誘導することを明らかにしました。
Tレグ細胞は、炎症性腸疾患や関節リウマチなどの免疫システムの過剰応答を抑制するのに重要な役割を果たすT細胞の一種です。
通常のマウスの大腸にはTレグ細胞が多数存在していますが、無菌マウスでは激減していました。
さらに、クロストリジウム属細菌が大腸内のTレグ細胞を顕著に増加させました。
また、クロストリジウム属細菌を多く持つマウスは、腸炎やアレルギー反応が起こりにくいことも発見しました。
この研究論文は世界的権威のある米国科学雑誌の『サイエンス』に掲載されました。(Atarashi K, Tanoue T, Shima T et al: Induction of colonic regulatory T cells by indigenous Clostridium species. Science. 331(6015): 337-41. 2011)
さらに本田博士らの研究チームは、制御性T細胞(Tレグ細胞)を誘導するヒトの腸内細菌の同定に世界で初めて成功しました。
健康なヒトの糞便からTレグ細胞を誘導する17種類のクロストリジウム属菌を同定しました。
さらにこの17菌種の混合物をマウスに投与すると、大腸のTレグ細胞が増加して腸炎や下痢が有意に抑制されました。
また、17菌種の多くが、健常者群に比べて炎症性腸疾患患者群の糞便で有意に減少していました。
この研究論文は世界的権威のある英国科学雑誌の『ネイチャー』に掲載されました。(Atarashi K, Tanoue T, Oshima K: Treg induction by a rationally selected mixture of Clostridia strains from the human microbiota. Nature. 500(7461): 232-6. 2013)
理化学研究所の研究チームは、クロストリジウム目の腸内細菌が産生した酪酸が、アレルギーや自己免疫疾患を抑える働きのある制御性T細胞(Tレグ細胞)を増やすことを明らかにしました。
また、制御性T細胞(Tレグ細胞)がIgA抗体の産生を介して、腸内細菌叢のバランスを制御している一方で、バランスのとれた腸内細菌叢が、腸管における制御性T細胞の誘導やIgA抗体の産生に有効に働いていることも発表しています。
大阪大学の免疫学フロンティア研究センターの研究チームは、腸内細菌が産生する乳酸・ピルビン酸が免疫を活性化する仕組みを解明し、2019年2月の世界的権威のある英国科学雑誌の『ネイチャー』に掲載されました。
乳酸菌であるラクトバシラスが産生する乳酸・ピルビン酸がマクロファージ上のGPR31受容体に結合すると、マクロファージは樹状突起を伸ばし、病原性細菌を効率よく取り込むことを発見しました。
マクロファージは白血球の一種で、貪食細胞とも呼ばれます。
体内に侵入した病原体などを捕食して消化します。
さらに消化した病原体の抗原情報をヘルパーT細胞に提示します(抗原提示)。
(Morita N, Umemoto E, Fujita S et al: GPR31-dependent dendrite protrusion of intestinal CX3CR1+ cells by bacterial metabolites. Nature. 566 (7742): 110-114. 2019)
慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室の研究グループは、CD8T細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化させる11種類の腸内細菌を同定し、2019年2月の世界的権威のある英国科学雑誌の『ネイチャー』に掲載されました。
CD8T細胞はIFNγ(インターフェロンガンマ)を産生し、病原菌による感染症予防や抗腫瘍効果を発揮する免疫細胞です。
バクテロイデス目の細菌7株(バクテロイデーテス属、パラバクテロイデス属など)と非バクテロイデス目の細菌4株(フソバクテリウム属、ユーバクテリウム属など)が協調してCD8T細胞を活性化することが証明されました。
(Tanoue T, Morita S, Plichta DR et al: A defined commensal consortium elicits CD8 T cells and anti-cancer immunity. Nature. 565(7741): 600-605. 2019)
これまでに解明された免疫系に対する腸内細菌の働きの一部を紹介しました。
以上のように腸内腸内細菌は免疫系に重要な役割を果たしており、腸内環境を整えることが感染症の予防や癌、膠原病、アレルギー疾患など様々な疾病の予防に重要であると言えます。
花粉症は花粉による季節性のアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の総称です。
一方、ハウスダストやダニ、カビ、ペットの毛などが原因となるものは通年性アレルギー性鼻炎と言います。
花粉症は植物の花粉が、鼻や眼などの粘膜に接触することで、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状が引き起こされます。
花粉症をもつ人は年々増加し、現在、国民の約4人に1人、3,000万人以上が罹患しているとされ国民病とも言われています。
花粉症の原因となる植物には、樹木ではスギやヒノキの他にシラカンバ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、ブナ、ヤシャブシなどがあります。
草本ではカモガヤなどのイネ科の花粉症が多くなってきていますが、他にキク科のブタクサ、ヨモギ、アサ科のカナムグラなどの植物があります。
スギ花粉は花粉症の原因で最も多く(約70%)、2月〜4月をピークに、10月~12月にかけてもわずかに飛散します。
ヒノキ花粉の飛散はスギに約1ヵ月遅れて3・4月がピークになります。
シラカンバ花粉の飛散時期は4~6月で北海道での花粉症の主な原因です。
ヤシャブシは近畿地方に多く、花粉は1月〜4月にかけて飛散します。
イネ科の花粉は種類が多いために、春から初秋までの長い期間(4~6月頃と8~10月頃にピーク)飛散します。
ブタクサやヨモギなどのキク科とカナムグラは夏の終わりから秋(8~10月)にかけて飛散します。
花粉症に罹患する人は、遺伝的にアレルギー体質であることが主な原因と言われています。
近年、花粉症が増加した要因としては、飛散する花粉数の増加、食生活の変化、大気汚染、睡眠不足や不規則な生活、ストレスなどにによる自律神経のバランスの乱れ、腸内細菌の変化などがあります。
花粉症はアレルギーのなかでI型アレルギーに分類されます。
アレルギーは、外から体内に入ってきた異物(抗原)を排除するために働く免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こった状態です。
アレルギーを引き起こす抗原をアレルゲンと呼びますが、花粉症では植物の花粉がアレルゲンとなります。
目や鼻などの粘膜に花粉が付着すると、マクロファージ(貪食細胞)が取り込み、花粉を非自己(異物)であると認識します。
免疫細胞のうち胸腺で成熟するリンパ球であるT細胞には病原体などを攻撃する細胞障害性T細胞と免疫反応を促すヘルパーT細胞があります。
さらにヘルパーT細胞にはTh1細胞(主として感染症時に働くT細胞)とTh2細胞(主としてアレルギーに働くT細胞)が存在します。
Th1細胞は細胞障害性T細胞を活性化して病原体などを攻撃します。
一方、Th2細胞はマクロファージが取り込んだ花粉が異物であるという情報を骨髄で成熟するリンパ球であるB細胞に伝えます。
そして、B細胞はその情報をもとにして花粉アレルゲンと特異的に反応する抗体を作ります。
このときに産生される抗体はIgE(ヒトの抗体にはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があり、それぞれ働きが異なります)です。
アレルゲン(花粉)の最初の侵入でIgEが作られ、IgEは肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球という白血球に結合します。
この状態を"感作"と呼び、アレルギー反応(花粉症)を起こす準備ができた状態となります。
感作の状態であっても花粉症を発症しない人もおり、発症には個人差があります。
アレルギー反応はある一定のレベル(閾値)を越えた時に発症すると考えられていますが、その詳細はわかっていません。
感作した状態で再びアレルゲン(花粉)が入ってくると、アレルゲン(花粉)が肥満細胞に結合したIgEと結合し、ヒスタミンなどの物質が分泌されます。
ヒスタミンは血管を拡張し、炎症を起こして鼻粘膜に浮腫をおこさせたり、くしゃみ中枢を刺激したりすることで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を起こします。
また、眼の粘膜でも同じことが起こり、眼の充血や痒み、涙の分泌などの症状がでます。
ちなみにI型アレルギーは、抗原(アレルゲン)が体内に入るとすぐに免疫反応がおこり症状がでるため即時型アレルギーとも呼ばれています。
I型アレルギーには花粉症の他に蕁麻疹や気管支喘息、食物アレルギー、アナフィラキシーショックなどがあります。
アナフィラキシーショックは全身性のもので、血圧低下などによりショック状態を起こすものです。
花粉症発症の原因にヘルパーT細胞であるTh1細胞とTh2細胞のバランスの乱れが関係していることが言われています。
花粉症やアレルギーに関係するのがTh2細胞で、抗原の情報をリンパ球のB細胞に伝えてIgEを産生するように誘導します。
さらにT細胞には過剰なT細胞の働きを抑える働きをしている制御性T細胞(Tレグ細胞)があり、これらのT細胞が互いにバランスをとりながら免疫をコントロールしています。
何らかの原因でTh2細胞が過剰になったりTレグ細胞が弱まったりすると、免疫バランスがくずれアレルギーが発症すると考えられています。
花粉症などのアレルギー対策のポイントは、免疫バランスを整えることだといえそうです。
近年、スギ花粉症の症状(くしゃみ、鼻水、眼のかゆみ、涙など)が乳酸菌シロタ株やビフィズスBB536などの摂取により軽減することが、多くの臨床研究で明らかにされています。
また、腸内細菌が花粉症の症状を軽減させるメカニズムとして、免疫系への作用が確認されています。
例えばアレルギーの原因となるIgE抗体の抑制やヘルパーT細胞であるTh1細胞/Th2細胞のバランスの改善、さらに制御性T細胞(Tレグ細胞)の増加などが報告されています。
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