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鍼灸院みらい京都桂

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お通じのしくみと便通異常

 便通異常についてご紹介します。便通異常に関するお悩みはお気軽にご相談ください。

正常な排便のメカニズム

 便通異常の話しにはいる前に、先ずは正常な排便のメカニズムについて説明します。起床後や朝食後に便意を催す方が多いと思いますが、お通じのスタイルも個人で異なりますので、必ずしも起床後や朝食後に便意を催す方ばかりではありません。

 起床後の胃は空っぽで空腹な状態です。水を飲んだり食事をすると胃が動き始めます。それと同時に結腸(大腸)も動き始めます。これを専門的には胃−結腸反射と呼んでいます。結腸、特にS状結腸にあった糞便が、消化管の最終地点である直腸に送られます。直腸内に糞便が溜まり、直腸壁が糞便によって伸展され、直腸の内圧が3050mmHgに高まると、その刺激が脊髄を上行し、大脳に到達して「便意」として感じます。それと同時に、脊髄の一番下にある仙随(S~4)が刺激され、骨盤神経という自律神経(副交感神経)が興奮し、この刺激が直腸や肛門括約筋に伝えられます。肛門括約筋には内肛門括約筋と外肛門括約筋の2つがあります。内肛門括約筋は自分の意思で動かすことが出来ませんが、外肛門括約筋は自分の意思で動かせる筋肉です。ちなみに自分の意思で動かせない筋肉を平滑筋、動かす事が出来る筋肉を横紋筋と呼びます。例えば肘の関節を曲げる上腕二頭筋や膝の関節を伸ばす大腿四頭筋などは横紋筋です。便意を催した時に、大便がもれないようにするために意識的に肛門をすぼめる筋肉(横紋筋)外肛門括約筋です。一方、内肛門括約筋は、通常は収縮して、肛門が閉じた状態になっていますが、骨盤神経が興奮すると無意識のうちにゆるんで(弛緩)、肛門が開き糞便がスムーズに排泄されます。また、骨盤底筋群(外肛門括約筋、恥骨直腸筋、肛門挙筋)の一つである恥骨直腸筋は、普段は収縮して直腸を前方に引っ張っています。このことで直腸が曲がり、糞便がもれるのを防いでいます。排便時に適度にいきむ(怒責)ことで意識的に横隔膜と腹筋を収縮させ、腹圧を高めると同時に恥骨直腸筋がゆるんで(弛緩)直腸がまっすぐになり糞便が排泄されます。このような一連の流れを専門的には、「排便反射」とよんでいます。例えば交通事故やスポーツ傷害などで脊髄を損傷したり、骨盤神経が損傷すると正常な排便反射が起こらず、排便障害を起こしたりします。

正常な排便のメカニズム

骨盤底筋群

便通異常について

 便通異常には、主に便秘と下痢、便秘と下痢が交互にみられる交代性便通異常の3つのタイプがあります。一般的には排便回数が少ない状態を便秘、逆に多い場合を下痢と考える方が多いと思いますが、排便回数の増減より、便の硬さや形などの便の状態が重視されています。健康的な便は、便に含まれる水分の量が70%程度で、適度な硬さのソーセージ状とされています。水分量が70%未満になると便が硬くなり、逆に8090%になると軟便・泥状便、90%以上になると水様便となります。このように水分量の少ない硬い便を排出する状態が便秘、水分量の多い軟便・泥状便・水様便を排出する状態が下痢です。この様な便の状態の変化がみられ、便が出にくい(排便困難)、排便後もすっきりしない(残便感)、お腹がよく張る(膨満感)、ガスが溜まる、よく出る(ガス症状)、腹痛などの排便時に伴う不快感がある場合が便通異常といえます。

 便秘や下痢などのお通じの不調を気にしている方でも、2、3日前の排便がどのような状態であったかを覚えおられる方は少ないでしょう。1週間前、1ヵ月前ともなるとほとんどの方が覚えていないのではないでしょうか。そこで排便日誌をつけることでご自身のお通じの状態をチェックすることが出来ます。排便日誌は便通異常の方の鍼灸治療の際にも使用し、詳細な排便状態の把握と治療効果の判定に用いています。排便日誌は、①1日の排便回数、②便の状態(硬い、軟便、泥状便、水様便)、③残便感の有無、④便の量、⑤排便時の腹痛の有無、⑥腹部膨満感の有無、⑦排ガス量、⑧便意の有無、⑨下剤の服用状況(回数、量)について毎日、記入してもらいます。

お通じは十人十色

 鍼灸治療の際に排便日誌を記入してもらう理由の一つとしては、お通じは便通に異常がない方でも個人によって違いますし、単に便秘といっても排便回数や不快感の種類・程度が人それぞれ違うためです。次に約1ヵ月間、排便日誌を記入してもらいグラフ化したものを紹介します。

19歳の女性のものです。排便回数は3日に1回程度で、長い時には7日に1回と不規則で少ないことが特徴。便の状態は硬くて兎糞状(兎の糞のようにコロコロした便)であることが多く、常に残便感もあり、量も少量であることから便秘といえます。

19歳の女性のものです。排便回数は少なくないにもかかわらず、便の状態が硬くて太い便・兎糞状であることがほとんどで、残便感もみられることから便秘といえます。

 この2名は常に硬い便である便秘ですが、同じ便秘でも排便回数に違いが見られます。

20歳の女性のものです。排便回数はほぼ1日に1回見られます。排便時に腹痛が時々みられ、便が少ないにもかかわらず残便感はほとんどみられません。便の状態が兎糞便と軟便が交互に見られ、交代型といえます。

④21歳の女性のものです。排便回数は不規則で、軟便の時には1日に2〜3回ですが、2〜3日あくと硬くて太い便になることから交代型といえます。排便時の腹痛は軟便時のみみられ、残便感はほぼ毎回みられます。

 この2名は硬い便と軟便が周期的に交互にみられる交代型便通異常ですが、明らかに排便回数や残便感の有無、排便のパターンに違いがみられます。2名とも腹痛が多くみられることから、過敏性腸症候群の可能性も考えられます。

⑤20歳の男性のものです。常に軟便であることから下痢といえます。下痢でも時々、便が少量で残便感もみられます。

⑥21歳の女性のものです。ほぼ毎日、下剤を服用しています。排便はほほ毎日みられ、便の状態は常に軟便です。便の状態からみると下痢のように思われますが、これは下剤の服用によるものです。下剤のために排便はほぼ毎日ありますが、便は少量で常に残便感と腹痛がみられることから、すっきりと便が出ていないことがわかります。下剤の不適切な使用(連用)が考えられます。    

①19歳,女性,便秘

②19歳,女性,便秘

③20歳,女性,交代型

④21歳,女性,交代型

⑤20歳,男性,下痢

③21歳,女性,下剤連用

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岩 昌宏

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