鍼灸治療では、まず主症状の他に食欲、睡眠、二便（排便，排尿）、心の状態（イライラ，抑うつ感，不安感，ストレスなど）、暑がりか寒がりか、冷えやほてりなどはないか、疲れやすいか、風邪をひきやすいかなどの体質、生活習慣（食事，運動など）や仕事の状況など詳細にお聞きします。次にお腹や背中、腰、上肢、下肢のツボ（経穴）の状態をチェックしたり、必要に応じて徒手検査などを行います。例えば腰痛の場合、西洋医学の整形外科では腰のX線撮影など腰を中心に診察されることが多いですが、鍼灸治療では腰だけでなく身体全体をチェックして、“証”を判定します。証は西洋医学の診断名にあたるもので、個人の体質を意味します。例えば｢気虚（ききょ）｣とは気が減って不足している状態を表します。古来より気は身体の中を巡る生命活動のエネルギーと考えられ、気が滞りなく円滑に巡っていれば健康な状態と考えます。病気とはまさに気が病んでいることです。気虚は、活動力・抵抗力が低下した状態で、疲れやすい、倦怠感、風邪を引きやすい、食欲不振などが見られます。証による体質を判定したら、証（体質）に応じたツボを選穴し施術方法を決定します。鍼灸の施術により体調のバランスを整え、証（体質）を改善することで症状が緩和されます。また、鍼灸治療は個人の体質に応じた治療ですので、テーラーメイド治療と言えます。